概要 |
この標本は、栃木県栃木市で1984年7月1日に採集されたミヤマクワガタの雌雄モザイク型で、左半分がオス、右半分がメスです。 頭部は、左の大あごが大きく発達し、頭部の後方に耳状の突起を持っており、オスの特徴を示しています。一方、右の大あごは小さく朽木をかじる際に便利な構造になっており、耳状の突起はありません。 胸部は、左のへりを見ると頭側から背中にかけてまっすぐです。それに対して右のへりは曲線を描くように丸くなっています。 あしは左が長く、右は短く、それぞれオスとメスの特徴がはっきりと認められます。右の前あしの脛節(けいせつ)が平たくなっており、これはメスが産卵などの際に朽ちた木や切り株の根元にもぐるのに適した構造です。 左の上翅(うわばね)は縦長で、右の上翅に比べて短く見えます。上翅の毛の状態にも違いがあり、左には表面に金色の毛が生えていますが、右には毛がなく黒色をしています。 雌雄モザイク型の発見例は非常に少ないことから、県内で採集された雌雄型としても貴重な資料の一つと言えます。この標本は、展示室2の動物ゾーンの引き出しの中に展示されていますので、来館の際はぜひ、探してみてください。 |